タスマニア大学語学研修を終えて
英語英文学科3年 須藤 江里子さん

まず初めに、この"スタディー・イングリッシュ・アブロード"を通して経験させて頂いたタスマニア大学での一ヶ月間、自分にとって大変大きな成長の場となりました。その一ヶ月をより意味あるものにするためには日本に戻ってきてからの生活を留学前と同じものではなく、学んだことを生かし英語を意識することが必要なのだと感じました。もちろん留学期間は大事ですが、その前後もまた重要な意味があるのだと実感しています。
初日にクラス分けのテストを受け、それによって決められたクラスでは七カ国にも及ぶ様々な国出身のクラスメイトと出会いました。自分のクラスは特に多国籍なクラスでしたがそうでないクラスもあり、せっかくの海外研修が少し残念に感じるようにも見受けられました。授業の中ではそれぞれの国の文化や考え方など初めて知ることが多くありました。一つの例を上げると、私のクラスにはサウジアラビア出身でイスラム教徒のクラスメイトがいて、彼は決まった時間になると礼拝のために授業を出ました。日本では宗教について深く考えたことがなく、宗教のしきたりが日常生活の基盤になっていることに驚きました。そしてまた、このことがきっかけで世界の宗教をもっと知り、理解しなければいけないと思うようになりました。また、授業内では改めて外国の生徒の積極性に驚かされ、自分も受け身であってはいけないと教えられました。

そして、ホストファミリーとの生活でもまた色々な面で成長させてもらいました。率直に言うと、私を受け入れてくれた家族はどちらかというとビジネスで生徒を受け入れていたのだと思います。初めは、他の生徒と違いホストファミリーと切り離された生活や一緒に出かける機会が無いことなど戸惑う部分が多くありました。やはり、現地のことを良く知っている家族との時間も欲しかったというのが正直なところです。私はホームステイのあたたかいイメージを期待してしまっていたのかもしれませんが、少し時間が経ち気持ちを切り替えようと思えた時、様々な理由で生徒を受け入れているホストファミリーがあり、そのことを十分に理解する必要があるのだと思いました。この時に引率の相原先生やウィルソン先生から様々なアドバイスを頂いたことが力になりました。幸運なことに私には同じ家に韓国人の生徒がもう一人いて、彼女と多くの時間を一緒に過ごすことができました。ホストファミリーが旅行に行っている際にも彼女と一緒でなければまた違う生活になっていたと思います。彼女がいてくれたおかげで助けられた部分が多くありました。結局彼女はその家が合っていないと感じ、私が日本に帰ると同時に別のホストファミリーの家にうつってしまいましたが来年韓国でまた会う約束をしています。クラスメイトだけではなくルームメイトとも出会えたことを嬉しく思っています。

この留学中に学校以外でも何かに挑戦してみたいと思い、友達と共にブッシュケアと呼ばれているタスマニアの森を守るボランティアに参加しました。現地の人しかいないということを事前に聞いていて不安な部分も沢山あったのですが、今ここででしかできないことをしてみたいと考えていました。聞いていたとおり現地の方だけでしたが、外来種の植物の伐採などわかりやすい英語で本当に親切に教えて下さいました。この時だけでなくタスマニアで生活をしていて良く感じていたのは、島の人びとの優しさです。わからないことだらけの私も何度も見知らぬ人に助けられました。自分から尋ねた時はもちろん現地の人の方から、親切に教えてきてくれたことも頻繁にありました。それは私だけでなく他の友達も同様に言っていたことです。
昔ながらのサラマンカマーケットやオーストラリアがイギリスの植民地時代に留置場であったポートアーサーなど観光地と言われる場所に友達と行ったことは楽しい思い出になりました。山形出身の私でさえ感動するくらいの大自然は一番の見どころかと思います。平日はほとんどのお店が夕方には閉まり、休日には営業していないお店があることには最初衝撃を受けましたが、住めば都という言葉にもあるようにそういう場所なのだと思い、住み慣れればタスマニアならではの良さをそれまで以上に感じることができました。
最後に、私は留学前に就職活動の面接練習で"国際人とは"という問いを考える機会がありました。この留学に行くまでは単に、言語が堪能でコミュニュケーション能力がある人と答えていました。しかし、この留学を終えて改めて考え直してみると、国際人とは言語が堪能であることに付け加えて自国と同様に外国のことを愛し、その土地の文化や習慣を受け入れようとする人であると思うようになりました。これもまたこの一ヶ月間で教えてもらったことの一つです。言語学習はもちろん、様々なことを学び、考えさせられる留学でした。このプラグラムを考案し、実行するに当たって支えて下さった関係者の方々に感謝しています。