2012年度(第14回)レポート ―韓国・ソウル

 2012年度海外企業見学が9月16日から21日までの日程で韓国・ソウルで実施されました。駐韓日本大使との懇談の他、日本文化院(駐韓日本大使館公報文化院)を訪問し、道上尚史院長より日韓の文化交流の現状、日韓関係と青年の使命などについて講義を聞くことができました。
 企業訪問では日本の回転すし大手チェーンかっぱ寿司のソウル店で日本人マネージャーより韓国における日本の食文化の影響、日本企業の韓国進出についてのテーマで講演を聞いた他、KBS(韓国放送公社)、教保文庫(国内最大書店)、大型ショッピングモールのロッテマートなどを見学しました。日本政府観光局(JNTO)ソウル事務所では観光産業の現状、韓国現地事情、海外で働くための努力について貴重な話を伺いました。
 韓国外国語大学、時事日本語学院での日本語講義にも参加し、学生たちとの交流、現地で講師として活躍している本学のOBにも会い、いい刺激をうけることができました。李氏朝鮮の王立図書館で現在は歴史的記録物の重要な所蔵庫であるソウル大学校の奎章閣、韓国と北朝鮮の軍事境界線である板門店、朝鮮王朝の王宮であった景福宮なども見学し、学生13人、引率教員2人の一行は、5泊6日の日程を終えて帰国しました。

引率者 尹亭仁(外国語学部)
    久田和孝(外国語学部)

日程

9月16日(日) 日本出発、ソウル着(午前)、現地OBとの懇談会(午後)
9月17日(月) 日本政府観光局訪問(午前)、駐韓日本大使表敬、日本大使館公報文化院訪問、日韓文化交流講演会(午後)
9月18日(火) 韓国外国語大学日本語科授業見学(午前)、KBS(韓国放送公社)見学、かっぱ寿司ソウル店訪問、企業講演会(午後)
9月19日(水) 韓国国会議事堂見学(午前)、ソウル大学奎章閣見学、時事日本語学院で外国語教育講演会、日本語授業の参観、学生たちと交流会(午後)
9月20日(木) 板門店見学(午前)、ロッテマート、ソウルタワー見学(午後)
9月21日(金) 景福宮見学(午前)、出国帰途へ(午後)

【引率された先生の報告書から】

似て非なる文化を訪ねて、最も大事な隣国へ ―韓国企業見学の勧め(文責:尹亭仁)

かつて近くて遠い国と言われていた韓国と日本だが、いまや両国間の人々の往来が1日1万人を超える政治、経済、文化の隣国である。韓国の製品は世界中に輸出され、私たちも携帯電話やパソコンなど、身近な生活用品まで韓国からの輸入品に接している。また韓流ブームが日本を席巻しているのと同時に、韓国でも日本食、日本の映画、アニメ、キャラクターなどの日本ブームは衰えを知らない。日本の飲食チェーン店も多数、韓国の大都市に出店しているほど、両国の親密感は増し、貿易、経済でも一体の関係が進んでいる。
 熾烈な受験競争と留学傾向、韓国は世界でも有数の教育熱の高い国であり、語学教育も進んでおり、日本語学習者も世界第一で約96万人が大学、高校、塾などで学んでいる。今回のプログラムでは、大学と日本語学校の授業に参加し、日本語を学ぶ若者たちとの交流を通じて語学学習と相互理解の現場を経験するとともに、現地で講師として活躍するOBからも貴重な話を聞いたり、教えている姿を直接目にしたりして、将来海外での日本語教師を目指す参加学生にとって大いなる刺激となった。
 在韓日本大使館、日本文化院、政府観光局などの公的機関を訪ね、日本の魅力を隣国韓国に伝える仕事の苦労、また韓国が日本に何を期待し心を開いているのかなどについて、有意義な話を聞くことができた。KBS(韓国放送公社)、国会議事堂、マートなどの施設を回りながら、似て非なる日韓の文化の違いにさらなる魅力を発見し、自ら韓国語を使って商品を買い、質問をし、案内を受けるという実用体験を積みながら、一人一人の国際文化交流が始まった5泊6日であった。帰国後も市内のホテルで報告会を催すなど、参加学生間での交流も活発で、その後も個人旅行、短期語学研修でソウルを往来した情報交換が交わされている。例年に増して非常に意義のある2012年のソウル研修となった。

参加者にはこんな成果がありました

韓国の素晴らしさに気付いた企業見学!

 企業見学を終えて「楽しかったな」「また行きたいな」「普段なかなか足を運ぶことができない場所に行くことができたな」「自分で旅行に行くよりも多くの場所を廻れたな」ということも感じましたが、私の心の中に一番大きく残った気持ちは、「韓国はやはり素晴らしい国だな」という思いでした。企業見学という形で様々な場所をまわりましたが、韓国の文化とのふれあいと人との交流が隠れた大きなテーマではないかと思いました。2日目に訪問した日本政府観光局ソウル事務所の方が「日本人は他人と浅く付き合うのに比べ、韓国人は他人と深い付き合いができる」と仰ってましたが、私はこのことを企業見学の間にひしひしと感じました。

韓国語を授業だけではなく、自分のものにしていきます!

 今回の企業見学では、日韓の緊張が高まる中での訪問となったが、個人的に出かける韓国旅行とは違った有意義なものになった。日本語を学ぶ韓国人の中にネイティブスピーカーのゲストとして入ったり、在韓日本大使館に表敬訪問したり、軍事境界線にある板門店を訪れたりと、大学の代表として訪問したからこそできた経験ばかりだった。研修期間中に日本語の授業に参加して思ったのは、授業への参加姿勢と、わからないことは必ず最後まで聞いて納得してから進むという積極性が日本人学生と韓国人学生とでは大きく違うということだった。韓国人学生と交流会をしたときも、日本語を使って不自由なく会話をしていて、今回参加したメンバーは韓国語を少し学んでいる人がたくさんいたので積極的に韓国語を使おうとしたが、韓国人側の勢いに負けてしまっていた。この経験から韓国語の授業にただ参加しているだけでなく、しっかりと自分のものにしようと強く感じた。

韓国の日本企業で、国際社会の厳しさと魅力を学びました。

 韓国のテレビ局であるKBSを訪れ、そこではニューススタジオのような場所でニュース原稿を読み上げる体験やアニメのアテレコの体験などをしました。普段できない体験を韓国語でやったので、難しさはありましたが、より忘れられない体験になったと思います。かっぱ寿司では、日本企業の韓国出店に際しての問題点と今後の展開について、日本人マネージャーの方からお話を伺いました。日本と同じように安価で品質の良いものを出せばいいという考えは韓国では受け入れてもらえず、様々な困難があったと知り、やはり国が違えば考え方、常識も変わるのだと感じました。違いを受け入れ、その国に柔軟に対応していくことが国際社会で生きていくうえで大切なのだということを今後も意識していきたいと思います。

海外で働く日本人に出会い、私の人生を変えられました。

 歴史やサブカルチャーなど、この5泊6日の研修でたくさん学ぶことができました。また、韓国人の友達ができ韓国語で会話をして通じ合うことができたとき、言葉では言い表せないくらいの嬉しさがこみ上げてきました。私が一番今回参加できてよかったと思えたのは、韓国で働いている日本人の方たちのお話を聞けたことです。どの方の話も私の人生を変えてくれるような、それくらい大切で重要なお話でした。ただの旅行ではこんな経験はできませんでしたし、本当に感謝しています。