ニュース

国際文化交流学科 専門演習IA全体講演会 『ラテンに学ぶ 幸せな生き方』を開催しました。

6月15日(水)2時限、セレストホールで、国際文化交流学科専門演習IAの授業の一環として、ラテンアメリカ文化に造詣の深い八木啓代氏をお招きし、全体講演会を開催しました。

本講演会では、経済的には決して恵まれているとはいえないラテン社会において、人々の幸福度が高いのはなぜか、という興味深いお話しがデータと共に提示され、また日本でも良く知られているイソップ物語のアリとキリギリスのお話しが、日本とラテンアメリカ社会では全く異なる結末で語られているというエピソードも紹介されました。その他にも、多くのラテンアメリカ社会の政治の裏側や、パワフルな芸術文化の話など、映像と共に次々と紹介され、学生たちは一様に新鮮な驚きの表情を浮かべていました。

そうしたラテンアメリカ社会の実情と共に、印象的であったのは、八木氏自身の生き方でもありました。八木氏は、メキシコへの交換留学を経て、その際体験した現地の姿を自分自身の言葉で日本に紹介したいという強い想いから、自ら現地へと赴き交渉を成功させ、『地球の歩き方メキシコ編』を出版させたという経歴があるとのこと。自らの信念で、自らの足で、未来をつかみ取ろうとするその行動力と強い精神力は、本講演会に参加した多くの学生たちの心に強い印象を残したようです。

八木氏がモットーとしている、情報は常に複数ソースから多角度に見ること、そしてそこから自分で選び取るのだという姿勢は、SNS時代の只中を生きる学生たちにとって、他人事ではないテーマであり、外国語を学ぶということこそが、より多くの情報ソースを手に入れるための不可避の手段だという再認識を与えてくれるものでもありました。学生一人一人にとって、新たに日々の外国語・外国文化への学習に対する意欲を高めてくれる、非常に有意義な全体講演会となりました。

貴重な機会をくださいました八木啓代氏、並びに、本講演会にご協力いただきました先生方にあらためて御礼申し上げます。

文責:小松原由理

学生たちのコメントより(一部抜粋)

  • 豊かさとは、決して経済的なことだけではないのだと痛感した。日本の人々も事故や災害から立ち直るだけの強い力や団結を持っているが、中南米の人々のように、日常から助けあるうということが真の豊さに繋がるのだということを強く感じた。
  • 完全にラテン的な生き方を日本人がするということ自体が難しいだろうが、時間に余裕のない日本社会の生き方を続けていくと、確実に追い込まれることになる。徐々にラテンの要素を取り入れた生き方を日本人も身に着けていくことは望ましいだろうと思う。
  • 日本の自殺率が高いという話は考えさせられた。日本では失業し苦しむと一人で抱えてしまうが、中南米では友達の家に転がり込むといった話を聞いて、人と人とのつながりに日本のような無駄なプライドがないのだと思った。
  • 「思っていたより違うこと」というのはたくさんあるのだと実感した。世界一貧しい大統領として話題になっているムヒカ大統領の政策に驚いた。貧しくてもチャンスがつかめる、貧しくても幸せになれるという点が日本と大きく異なっている点だと思った。一番安いものを買うだけではなく、ちょっとした贅沢をしたいという中間層が経済を大きく動かすということは納得ができた。中南米の格差社会改善のための動きに対して、日本の現在の政権の動きはどうなのか、あらためて注目したいと思った。
  • 資本主義や社会主義といった政治体系を記述する本には批判的な要素ばかりが紹介されているイメージがあるが、キューバでは社会主義か下でも政府批判があったという実態を本日の講演会で聞き、やはり本当のことは複数の文献と人々の実際の話を踏まえないと分かったとは言えないのだということに気づかされた。一つの意見をうのみにすることの危険性を感じさせられた。