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国際文化交流学科 国際文化交流専門演習ⅠAで施設見学を実施しました

5月21日(日) 横浜関帝廟

 関帝廟は横浜中華街の中では有名な観光スポットであり、中華街を訪れたことのある人であれば名前は知らずとも目にしたことのある施設であると思います。ここは道教という中国の宗教の寺院でありますが、廟の内部に入って参拝したことのある人は案外と少ないのではないでしょうか。今回は本演習を履修する学生の中から希望者を募り、関帝廟の中で参拝を行ってきました。

 関帝廟は道教の寺院だけあって、私たちになじみ深い寺社仏閣での参拝とは作法が違ってきます。願い事をする時は自分の氏名・住所・生年月日などをはっきりと伝えなければなりませんし、またおみくじのひき方も日本とは大きく異なります。学生たちは廟内でこれらについて教わりつつ参拝を体験し、その中には独自の特徴を持つ中国の文化に強い関心を寄せる学生もいました。

5月26日(土) 山手西洋館

 横浜には幕末の開港以来、欧米諸国から多くの商人や宣教師が来日して滞在していた歴史があります。特に元町・山手は外国人居留地として指定されたこともあり、これらの人々に向けた各種施設や建造物が設けられましたが、それらの中には現在整備されて一般向けに開放されているものもあります。

 今回はこれらの西洋式建造物を学生と共に見学してきました。当日は横浜市イギリス館・山手111番館・ベーリックホールの三か所を訪問し、その内部を観覧すると共に引率教員や施設の管理者の方から建造物についての説明を受けることができました。見学に参加した学生にとっては、今では貴重な建築様式について実見することで西洋の建築や生活にまつわる文化に触れ、またこれらの施設を利用していた人々と横浜との間に持たれた交流についても思いをはせる機会となりました。

 

5月27日(日) 東京ジャーミィ

 東京の代々木上原にある東京ジャーミィは、日本最大規模、かつもっとも美しいモスクとして訪れた人を魅了します。当日は、総勢19名が肌を露出しない格好で、とくに女子学生はスカーフで髪を覆い、1時間半ほどのガイド付き見学ツアーに参加しました。

 ちょうど断食月だったこともあり、1か月のあいだモスクで断食明けの食事が無料提供されることや、モスクが社会のシェルターであることなど、イスラームが重視する弱者救済の精神についての話を伺ったあと、2階の礼拝場で礼拝の様子を見学させていただきました。礼拝を呼びかける大音量の生の歌声(アザーン)に学生たちは神妙な面持ちで聞き入っていました。イスラームというと、ISなどとかくネガティブなイメージが強いですが、さまざまな国籍、年代の人びとが地位や立場を超えて一列に並んで礼拝をしたり、礼拝後みなが笑顔で握手したりする姿を目の当たりにし、学生はイスラームの平等主義的で同胞愛に満ちた一面を感じることができたと思います。

6月1日(金) ホラー映画上映会

 従来本演習においては学外の施設を訪れて異文化を体験する企画を用意していますが、今年度は新たな試みとしてホラー映画の上映会を行いました。日も落ちた金曜日の夜の時間帯というホラー映画にとっては良いシチュエーションを用意し、学生たちに約2時間の間恐怖を堪能してもらいました。

 今回採り上げた映画はイタリア人監督マリオ・ババ(Mrio Bava)による「血ぬられた墓標」(原題:La Maschera del Demonio)。ゴーゴリの小説をベースにしたゴシック様式を強く感じさせる作品で、ヨーロッパのホラー映画の中にあって古典として位置づけられるものでもあります。当日は担当教員より作品についてのレクチャーがあった後、観賞を行いましたが、今回の機会には単にホラー作品を楽しむのではなく、「エンターテインメントとして恐怖」を異文化理解の観点から捉えなおす意図が込められています。学生もそうした点を踏まえた上で映画に見入り、自身の視野をさらに広げることができました。

7月1日(土) 印刷博物館

 小石川にある印刷博物館は、世界規模の総合印刷会社である凸版(とっぱん)印刷が2000年に設立した、コミュニケーション・メディアとしての印刷文化についての博物館です。おもに印刷の技術や文化に関わる物品を展示していますが、特に印刷の歴史に力を入れた展示になっています。人類の歴史における文字の発生やその複製技術の発展、版画などの図版・絵画の複製の歴史、ヨーロッパにおける活版印刷の始まりとその普及による近代社会の到来、日本の海外交流と印刷技術の展開、など盛り沢山です。

 当日は14時に集合し、14時15分から博物館の方による展示物説明ツアー、15時からはVRシアターを鑑賞、その後しばらく自由見学をした後、16時から併設の印刷工房で40分ほどにわたって活版印刷の印刷体験と企画も盛り沢山でした。特に印刷体験は、学生たちもエプロンをつけ、2人ないし3人一組になって組み版に使うステッキという箱にアルファベットの金属活字を組んでいき、最後は手動で印刷をするという貴重な時間でした。25人弱の学生のために、講師の先生の他に5人ほどのスタッフがついて大変手厚いサポートでした。印刷した紙片は栞としてお土産として持ち帰ることが出来、学生たちも大変楽しそうにしていました。