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国際文化交流学科 国際文化交流専門演習ⅠAで施設見学を実施しました

5月25日(土)山手元町 歴史的西洋の家々

 横浜には幕末の開港以来、欧米諸国から多くの商人や宣教師が来日して滞在していた歴史があります。特に元町・山手は外国人居留地として指定されたこともあり、これらの人々に向けた各種施設や建造物が設けられましたが、それらの中には現在整備されて一般向けに開放されているものもあります。

 今回はこれらの西洋式建造物を学生と共に見学してきました。当日は横浜市イギリス館・山手111番館・ベーリックホールの三か所を訪問し、その内部を観覧すると共に引率教員や施設の管理者の方から建造物についての説明を受けることができました。見学に参加した学生にとっては、今では貴重な建築様式について実見することで西洋の建築や生活にまつわる文化に触れ、またこれらの施設を利用していた人々と横浜との間に持たれた交流についても思いをはせる機会となりました。

5月31日(金)ホラー映画の夜

 従来本演習においては学外の施設を訪れて異文化を体験する企画を用意していますが、今年度は新たな試みとしてホラー映画の上映会を行いました。日も落ちた金曜日の夜の時間帯というホラー映画にとっては良いシチュエーションを用意し、学生たちに約2時間の間恐怖を堪能してもらいました。

 今回採り上げた映画はイタリア人監督マリオ・ババ(Mrio Bava)による「血ぬられた墓標」(原題:La Maschera del Demonio)。ゴーゴリの小説をベースにしたゴシック様式を強く感じさせる作品で、ヨーロッパのホラー映画の中にあって古典として位置づけられるものでもあります。当日は担当教員より作品についてのレクチャーがあった後、観賞を行いましたが、今回の機会には単にホラー作品を楽しむのではなく、「エンターテインメントとして恐怖」を異文化理解の観点から捉えなおす意図が込められています。学生もそうした点を踏まえた上で映画に見入り、自身の視野をさらに広げることができました。

 

5月27日(日) 東京ジャーミィ

 東京の代々木上原にある東京ジャーミィは、日本最大規模、かつもっとも美しいモスクとして訪れた人を魅了します。当日は、総勢15名が肌を露出しない格好で、とくに女子学生はスカーフで髪を覆い、1時間半ほどのガイド付き見学ツアーに参加しました。

 ちょうど断食月だったこともあり、1か月のあいだモスクで断食明けの食事が無料提供されることや、モスクが社会のシェルターであることなど、イスラームが重視する弱者救済の精神についての話を伺ったあと、2階の礼拝場で礼拝の様子を見学させていただきました。礼拝を呼びかける大音量の生の歌声(アザーン)に学生たちは神妙な面持ちで聞き入っていました。イスラームというと、ISなどとかくネガティブなイメージが強いですが、さまざまな国籍、年代の人びとが地位や立場を超えて一列に並んで礼拝をしたり、礼拝後みなが笑顔で握手したりする姿を目の当たりにし、学生はイスラームの平等主義的で同胞愛に満ちた一面を感じることができたと思います。

6月2日(日) 横浜関帝廟

 関帝廟という施設をご存じでしょうか?横浜中華街の中にある建物で、有名な観光スポットでもあります。中華街を取り扱ったメディアでは必ずといっていいほど登場する施設ですが、ここは道教という中国の宗教の寺院です。寺院ですから建物の内部には神像があり、そこで参拝が行われますが、実際に廟の内部に入ったことのある人は多くないと思います。そこで、今回は本演習を履修する学生の中から希望者を募り、関帝廟の中で参拝を行ってきました。

 関帝廟は道教の寺院ですので、寺社仏閣で行う参拝とは作法が異なります。例えば、願い事をする時は自分の氏名・住所・生年月日などをはっきりと伝えなければなりません。また、おみくじのひき方も日本とは大きく異なってきます。学生たちは廟内でこうした作法について教わりつつ参拝し、異なる文化・習慣を実体験することができ、中には独自の特徴を持つ中国の文化に強い関心を寄せる学生もいました。

6月23日(日)森美術館

 六本木ヒルズの最上階にある森美術館は、「文化都心」を創出するためのユニークな展覧会をこれまでも数々開催してきました。2006年に開催された「東京―ベルリン/ベルリン―東京」展や、2004年以降3年に1度のペースで企画されている日本の現代アートを総鑑する六本木クロッシング展など、世界と日本のアートをグローバルな視点で眺めるための重要な視点を与えてくれる施設でもあります。 今回学生たちと共に訪問したのは、ドイツに在住する世界的なアーティスト塩田千春の初の本格的な個展「魂がふるえる」展です。会期がスタートしたばかりの日曜日だったこともあり、受付には長蛇の列が!それを横目に学生たちと共に、団体専用の入口から一気に高層階へと向かいます。

 塩田はヨーロッパでの評価が高いアーティストではありますが、彼女の壮大なインスタレーションの背景にある不安や孤独、悲しいほどの情熱と虚無が一体となった作風には、極めてアジア的で繊細な琴線が真っすぐに浮かんでくるようでした。広い会場一面に紡がれた真紅の糸に織り上げられた舟、漆黒の糸が舞い上がるピアノ、椅子、無数のスーツケースなどに圧倒されながら、学生たちは思い思いに彼女の世界観を存分に堪能してくれたようでした。