—スペイン語学留学通信—VOL.9 番外編

まるでジブリだね

Un pueblo en el cielo ~天空の街~

スペイン語学研修の最終日、9月3日をバルセロナで迎えることになりました。この日は朝から自由行動となり、海に出掛ける人、買い物に没頭する人とそれぞれの過ごし方で旅行を締めくくっていました。
そんな僕はどうしたかと言うと、簡単に言えば山登りです。キリスト教の聖地「モンセラット」、バルセロナから電車を一時間と少し走らせるとそれはあります。車窓からの眺めは過去へのタイムスリップかのように建物はなくなり、草木が風を受けて揺れていました。電車での終着点は通過点に過ぎませんでした、なぜなら目的地は空ですから・・・。日本でもロープウェイはありますが、地上から標高1000m以上に向かうそれは滅多にないと思いました。笑いながら飛び跳ねていたオランダ人の横で僕はお祈りに専念でした。
空の街へ無事に着いた時、僕の恐怖は吹き飛びました。僕の眼下に広がっていたのは緑で染まっている平野のジオラマでした。それはまるで上から世界を覗いている神様の気分にさえ陥るものでした。そしてスペインはやっぱり広かった、改めて思いました。

この語学研修で僕はスペインを知った気になっていました。スペイン語は少しなら話せたし、地図さえあればどこへでも行けたし、スペインの歴史や文化の知識も以前より増えたと思っていました。しかし、モンセラットを訪れてみればそこにはちっぽけな自分がいました。学んでいるスペイン語(カスティージャ語)が通用しない地域もあれば、まだまだ知らない土地もあり、モンセラットでさえ先生に教えていただけなければ知らなかった土地でした。
スペインでの生活はこの日で終わりでしたが、僕にとっては始まりの日となりました。
この先もっとスペインという国を知っていきたい、そう思わせてくれたからです。

最後になりますが、
短い一ヶ月間で多くを学ばせてくれたスペインに、
いつも見守ってくれた2人の先生に、
一ヶ月を共に過ごした20人の仲間に、
そして支えてくれた人に、
感謝の気持ちを込めて・・・Muchas gracias.

(N.Y)

留学の目的とは

昨年の夏、私は2週間にわたりサラマンカ大学で行っている外国人コースに参加する学生を引率しました。教育的な立場から言えば、1カ月の留学は短いと言えるかも知れませんが、学生たちはそれを有意義に過ごし、自分たちを取り囲む世界に対してより広い視野を得て戻ってきたようです。

こうした広い視野を持つことは非常に重要といえるでしょう。外国語の習得については、意思の疎通や、人々と交流が非常に強調されるものですが、ある目的に実体を与えることや、そのために他者と向かい合う必要性にはあまり目が向けられないものです。しかし、日本の文化や社会について説明することでもいいし、お店で何かを頼むことでもいい、何か具体的な目的に到達するために自分の殻を破る努力をしなければ、外国に滞在すること自体は何の役にも立ちません。外国で得られるすべての経験は、より広く、より柔軟な、そして目的を達成するためにはより適した視野を得るために役に立つと言えるでしょう。

この研修の後、私の学生は目的を達成するためのこうした視野をしっかりと手に入れ、スペイン語圏の文化を知りたいという好奇心をより感じているように思えます。こうして得た新しい視野や、彼らの中で目覚めたばかりの好奇心が失われることなく、彼らの人生のため、あるいは日本の将来のための目標を彼らがしっかりと持ち続けるのに生かされることを願ってやみません。

バロン・アルトゥーロ

2008年度 サラマンカ夏季研修日程 参加者21名、引率教員2名

8月4日 成田発~マドリード(マドリード泊)
8月5日 マドリード~セゴビア~アビラ(昼食)~サラマンカ着
8月6日 研修開始
8月17日 レオン・サモーラ日帰り旅行(OP)、バリャドリード遠足(希望者のみ)
8月23日 アンダルシア旅行1日目(OP)
8月24日 アンダルシア旅行2日目(OP)
8月29日 研修終了
8月30日 サラマンカ~マドリード
8月31日 マドリード観光(自由行動)
9月1日 マドリード~バルセロナ
9月2日 バルセロナ観光(午前:市内見学、午後:自由行動)
9月3日 バルセロナ観光(自由行動)
9月4日 バルセロナ発 (機中泊)
9月5日 成田着

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